植え替えが始まったワシントニアパーム=宮崎市、伊藤秀樹撮影
南国・宮崎の代表的な風景の一つ、宮崎市の国道にそびえるヤシ並木「ワシントニアパーム」。60年もの歳月をかけて約840本を植え替えるという国土交通省の工事が、29日夜からスタートした。
ヤシ並木は市中心部から宮崎空港周辺までの国道220号と、市中心部の国道10号の中央分離帯に約840本が並ぶ。「宮崎観光の父」と言われる宮崎交通創業者の故・岩切章太郎氏が市内に植えたのが始まりという。1967年ごろ、当時の建設省が4~5メートルの木を市中心部から植え始めた。穏やかな気候も相まって南国ムードを演出し、「新婚旅行ブーム」にも一役買った。
植え替えが決まった理由は最大で20メートルを超えるという「高さ」だ。成長するにつれ、枯れ枝を切り落とす維持費がかさむように。枝が落下し、通行車両のフロントガラスが割れるなどの事故も相次いだ。管理する国土交通省宮崎河川国道事務所は、4メートルほどの若い木への植え替えを決断した。
景観を損ねないように7区間に分けて、年間14本のペースでゆっくり更新する。1本目だけは記念樹として市内に移植する。約100年と想定されるワシントニアパームの寿命を確認するという。2本目以降は伐採し、丸太を高架下で保管。これから活用方法を検討し、希望者に無料で配布することも考えているという。(伊藤秀樹)