衆院決算行政監視委に出席するため、第1委員室に入る安倍晋三首相(中央)=5日午前8時57分、岩下毅撮影
松野博一文部科学相は5日午前の衆院決算行政監視委員会で、加計学園の獣医学部新設問題をめぐり、文科省内で「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えられた文書を共有していたとされる問題について、「文書の出所や入手経緯が明らかにされず、改めて調査を行うことは考えていない」と述べ、再調査を拒否した。民進党の今井雅人氏に答えた。
特集:加計学園問題
今井氏から「首相の決断で(再)調査すべきだ」と求められた安倍晋三首相は、「(愛媛県)今治市を公募で決めた経緯に一切触れず、延々と議論するのは極めて不適切で、それを一般的には印象操作という」と反論し、政府の今後の対応については「まさに文科相が答弁した通りだ」と述べた。
加計学園の獣医学部新設問題で民進党は2日、文科省内で、内閣府から首相官邸の意向を踏まえて手続きを急ぐことを求められた文書が共有されていたことを示すとみられるメールを入手したと公表した。
今井氏が、メールの送受信先に記された職員名を読み上げ、実際に文科省内にいるかを問われると、文科省の常盤豊高等教育局長は「同姓同名の職員は実際にいる」と答えたが、松野氏は「省内外における政策の意思決定過程は公表しないというのは従来からのことだ」と述べ、再調査に応じない理由を説明した。
松野氏は先月19日、文科省が内閣府から「総理のご意向」などと言われたとする文書について「該当する文書の存在は確認できなかった」とする調査結果を発表。その後も前川喜平・前文科事務次官が記者会見などで、「文書は間違いない」「行政がゆがめられた」と証言したが、松野氏は「再調査は必要ない」として、野党の調査要求を拒否している。