安倍晋三首相が9条に自衛隊を明記するなど憲法改正に向けた提案をしたことを受け、自民党は6日、党としての改正原案を年内にまとめる方針を決めた。来年末の衆院任期満了をにらみ、衆参各院で「改憲勢力」が3分の2を占めているうちに発議をめざす日程を念頭に置いた判断だ。
党憲法改正推進本部が党本部でこの日、体制拡充後、初めてとなる幹部会を開いた。保岡興治本部長はあいさつで「遅くとも年内をめどに、(衆参の)憲法審査会に提案できる具体的な党の案をまとめたい」との方針を表明。異論は出なかったという。取りまとめを急ぐのは、衆院選と国民投票との同日実施も視野に、現有勢力での発議を目指すからだ。党幹部は「9月に党内でまとめ、11月には公明党との調整を始めたい」と明かす。
保岡氏は検討する改憲項目について、安倍首相が提案している9条への自衛隊明記や教育無償化に加え、緊急事態条項、参院選で県境をまたいだ「合区」の解消など選挙のあり方を含む4項目について議論する考えを示した。
幹部会では、首相提案を批判している石破茂・元防衛相が「仮に9条を議論するなら、ベースは党憲法改正草案でなければならない」と指摘した。首相提案は9条1、2項を残すもので、2項の内容を削る草案とは異なるからだ。その後の全体会合で、保岡氏は「草案も十分念頭に置きながら今後の具体案を整理する」と説明した。(山岸一生)