戸台敏治さんが保管する写真の1枚。俊一さん(後列左端)自身の説明書きによると、1933年夏、東京の壺井栄(後列右から2人目)宅で撮影。俊一さんはこの年の2月に虐殺された小林多喜二の作品『転形期の人々』の広告を手にしている(戸台敏治さん提供) 戦前・戦中の治安維持法で弾圧された男性の手紙を、和歌山県に住むおいが今も保管している。内心の自由を侵す恐れがあり、治安維持法との類似性も指摘された「共謀罪」法の成立から15日で1年。過酷な体験を読み返すたびに、「再びあの時代を繰り返してはいけない」と話す。 保管しているのは、和歌山県田辺市在住で県立高校長などを務めた戸台敏治(とだいとしじ)さん(85)。叔父の戸台俊一(としいち)さん(1906~90)が、敏治さんの父らに出した手紙のうち、便箋(びんせん)15枚に書かれた36年2月の手紙に弾圧の記録がつづられていた。 俊一さんは15歳で上京し、郵便局などに勤務。手紙と、同封の裁判記録によると、28年ごろに友人の影響でマルクス主義に関心を持ったが深入りはせず、模範従業員の表彰も受けた。 ところが31年、郵便局の食堂改善運動への参加がきっかけで検挙され、失職した。「平安な生活をしたい」と職を探したがうまくいかず、「人類の向上のために裨益(ひえき)(寄与)したい」との思いを強くしていった。 その年11月ごろ、小説「蟹工船」で知られる小林多喜二らによる「日本プロレタリア文化連盟」(コップ)に参加。連盟の出版所に入り、後に作家になる壺井栄らと働き始めた。 思想統制を強めていた警察は「国体」(天皇を中心とした国のあり方)の変革などを目的とする結社を禁じた治安維持法で社会運動も弾圧。32年には全国のコップ関係者400人以上を検挙した。俊一さんも34年1月に警察に検挙された。 手紙には、警察の留置場での悲惨な体験が記されている。「一日も運動をしないばかりではなく、睡眠さへない(三畳より小さい室に二十人位)、入浴もしない。虱(しらみ)や南京虫だらけの三百日。取り調べと言えば、拷問より外に能がない。打つ、吊(つる)す、火で皮膚を焼く、夏のさかりに熱い湯を背中に注ぎ込む」 検挙前の弾圧の中でも俊一さんはコップを離れず、逆に共産党に入った。「非合法になったから手を引くことは、リコウな者のとる手段。父、兄弟、恋愛的な関係の一切を抛棄(ほうき)しました」。しかし、裁判の過程で転向を表明。36年1月、懲役2年執行猶予5年の判決を受け、釈放された。 「(転向が)幸福であるか、不… |
火で皮膚焼く、背に熱湯…思想弾圧刻む82年前の手紙
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