4回戦でベルダスコを下した錦織圭=AP
男子の世界ランキング9位、錦織圭が84年ぶりとなる偉業に挑む。7日のシングルス準々決勝で同1位のアンディ・マリー(英)に勝てば、日本男子では1933年大会4強の佐藤次郎以来の準決勝進出となる。勝機はあるのか。
過去は錦織の2勝8敗。マリーは守備範囲が広く、ピンチから一転、腕のリーチの長さを生かし、強烈なカウンターを繰り出してくる。戦術眼にも優れる。
錦織の貴重な成功体験は昨年の全米オープンでのフルセットの勝利だ。緩急を織り交ぜ、忍耐強く、難敵の堅守をこじ開けた。
ところが、5日の記者会見で、全米の一戦の思い出を聞かれた錦織は驚くべき発言で笑いを誘った。「実は記憶力が良くないので、覚えていない。僕は勝ったんだっけ?」。ただ、その後に「いつも激闘になる。もちろん今度もタフな戦いになる」と付け加えた。
4回戦までの戦いぶりで気になるのは、1試合の中で突然集中力を欠き、主導権を明け渡す時間帯があること。ランク的に挑戦者の立場で臨めるマリー戦では、天性の遊び心あふれるプレーを取り戻したい。
一方、マリーは5日、錦織への警戒感を口にした。
「(昨年の)全米で負けている。クレーが得意で、フォア、バックの両サイドとも危険なショットを持つ。俊敏さもある」。今季のマリーはここまで優勝は1大会のみと昨季後半の無敵ぶりはなかったが、全仏に入り、安定感が戻った。
錦織は世界1位の選手との対戦で10連敗中。勝てば、準優勝した2014年全米オープン準決勝で、ジョコビッチ(セルビア)を破って以来となる。
■錦織のマリー戦成績
2011 上海 準決勝 ● 3―6、0―6
2012 全豪 準々決勝 ● 3―6、3―6、1―6
2013 ブリスベン国際 準決勝 ● 4―6、0―2(棄権)
2014 ATPファイナル 1次リーグ ○ 6―4、6―4
2015 マドリード 準決勝 ● 3―6、4―6
2015 ロジャーズ・カップ(モントリオール) 準決勝 ● 3―6、0―6
2016 デビス杯 1回戦 ● 5―7、6―7、6―3、6―4、3―6
2016 リオ五輪 準決勝 ● 1―6、4―6
2016 全米 準々決勝 ○ 1―6、6―4、4―6、6―1、7―5
2016 ATPファイナル 1次リーグ ● 7―6、4―6、4―6
※2015年マドリードは全仏と同じクレーコート。それ以外はハードコート(稲垣康介)