「脱アベノミクス」勉強会。左から野田聖子氏、中谷元氏、野田毅氏らが出席した。右端は村上誠一郎氏=15日、国会内
自民党内で安倍晋三首相に距離を置く議員を中心に結成した「脱アベノミクス」を考える勉強会が15日、国会内であり、石破茂、野田聖子両氏ら来秋の総裁選をにらむ議員も出席した。経済政策で首相への対抗軸を打ち立てる勢力に広がるかが注目される。
「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」と名付け、会長には消費増税の延期をめぐり首相と対立した野田毅・前党税制調査会長が就任。5月16日の初回会合に続き、この日は2回目の会合。主催者発表で40人の国会議員が出席し、異次元の金融緩和に対する懸念をぶつけ合った。
あいさつで野田毅氏は「企業レベルでも個人レベルでも、将来への不安が世の中に充満している」と指摘。講師に招いた元日本銀行理事の早川英男氏は、日銀のマイナス金利政策を「限界に来ている」と批判した。出席議員からは「物価上昇率2%という目標が高すぎるのでは」との声のほか、財政規律に関する政府の目標設定を疑問視する意見が出た。
勉強会を仕掛けたメンバーには、村上誠一郎・元行革相、中谷元・前防衛相ら、首相が消費増税を2度にわたって先送りしたことに批判的な立場を取る議員が多い。村上氏は加計学園問題でも首相に厳しい指摘を繰り返している。
野田聖子氏の呼びかけに応じて初めて出席した石破氏は会合後、「これから日本が迎える状況は極めて危機的だ」と強調。「言うべきことを言わないのは、自分の取るべきやり方ではない」と記者団に語った。
ただ、首相出身派閥である細田派の塩谷立・元文部科学相や額賀派会長の額賀福志郎・元財務相も出席するなど勉強会は必ずしも「非安倍」一色とはいえず、首相への対抗軸につながる動きになるかは未知数だ。(藤原慎一、古賀大己)