高校野球応援ソングを歌う高橋優さん=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、槌谷綾二撮影
朝日放送(ABC)の今夏の高校野球応援ソングが、シンガー・ソングライター高橋優さんの「虹」に決まった。ABC・テレビ朝日系のハイライト番組「熱闘甲子園」や、8月7日に開幕する第99回全国高校野球選手権大会の中継で使用される。高校野球は「テレビで見たことしかなかった」という高橋さんは、楽曲を作るために全国各地の球場で試合を観戦してきた。「一生懸命野球に打ち込むみなさんのことを想像して、精いっぱい言葉を紡いできた」と振り返る。
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「熱闘甲子園」のキャスターは、3年連続で元プロ野球ヤクルトの古田敦也さん(51)が担当する。
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高橋さんの一問一答は次の通り。
――起用された感想を
「ものすごく光栄でうれしかったんですけど、僕以上に周りのスタッフが喜んでいるのをほほえましく見ていました。野球好きのスタッフがすごく多いので」
――これまで持っていた高校野球のイメージは
「見ると、泣いちゃうイメージが強かったです。テレビで見たことしかなかったんですけど」
――「曲作りの旅」と題して、全国各地で試合を見てきた。特に印象に残っている試合は
「ひとつは、今すごいと言われている清宮(幸太郎)選手(東京・早稲田実)の試合です。神宮第二球場で拝見しました。もう一つ個人的に印象的だったのが、僕の地元の(秋田県)横手市での試合。ファウルボールが僕の隣の隣の席くらいのところに飛んできて、『もうちょっとずれていたら、当たってたかも』と。そのボールを拾って、回収しにきた高校球児に渡したときが、一番ドキドキしました」
――「虹」というタイトルに込めた思いは
「雨が降っていたり、なかなか自分の思うような状況ではなかったりするときはある。僕は『いいことが起こればいいなぁ』という気持ちになることが多かった。でも高校球児のみなさんは、大差で負けていても自分の理想的なコンディションじゃなくても、勝つためにプレーし続けている。逆転できないときもあるけど、そうやって信じてやってると奇跡が起こることもある。ということは、あの子たちは奇跡が起こるのを待っているんじゃなくて、起こさなきゃと思って試合をしているんだろうなと感じたんです。そう思ったときに、『奇跡を待つな、奇跡を起こせ』というキーワードが浮かんで、歌詞にも入れた。雨が降っているときだって、虹がかかるのを待つんじゃなくて、自分たちが虹みたいにきれいになってやればいい。それがテーマになりました」
――曲調も力強い
「今回、見せてもらった映像のなかに『ラストミーティング』というのがあった。甲子園に出ることができなかった学校の監督が最後に部員たちにメッセージを贈っていた。これが僕の心に残っていて。何度も何度もそれを見て、曲を書いている最中もそれを流しながら、ギターを弾いていた。その映像に寄り添えるような曲調を想像しながら、書きました」
――曲作りの旅を経験して感じたことは
「10代の青春時代は一生モノだと思うんですよね。今の高校球児が『熱闘甲子園』という番組を見たり、テーマソングで『虹』という曲を聞いてくださったりして、そのなかの誰かが、10年、20年後にたまたま『虹』を聞いたときに、今年の夏を思い出してもらえることもあるのかな、と。タイムカプセルじゃないですけど、音楽はそういう力を発揮するかもしれないということを、旅をしながら感じていました」
――高校球児にメッセージを
「一生懸命野球に打ち込んでいるみなさんのことを想像して、精いっぱいの思いで言葉を紡いできました。緊張したり、思い通りいかなかったり、逆に思った以上にいいプレーをしたり、いろんな日があると思うんですけど、それを見ているこちら側は毎日、そんなみなさんに勇気づけられています。ぜひ最高の夏を過ごしてください。応援しています」