爆発のあったベルギー首都ブリュッセルのブリュッセル中央駅。奥で炎が上がっているのが見える=20日、ロイター
ベルギーの首都ブリュッセルにあるブリュッセル中央駅の構内で20日午後8時半(日本時間21日午前3時半)ごろ、爆発があった。ベルギー検察によると、爆発物を持ち込んだとみられる容疑者に兵士が発砲。AFP通信は、容疑者が死亡したと伝えた。市民にけが人は出ていない。
ベルギー首都の駅で爆発、テロか 容疑者に兵士が発砲
同通信などによると、爆発前、容疑者とみられる人物が、アラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいた。自爆ベルトのようなものを身につけていたという目撃情報もある。ベルギー検察はテロの可能性が高いとして捜査を始めた。犯行声明は確認されていない。
爆発後、駅は閉鎖された。近くにある世界遺産の広場グランプラスも、立ち入りが制限された。ブリュッセルでは22日から欧州連合(EU)首脳会議が開かれる予定で、警察や治安部隊は警戒を強めていた。
駅はブリュッセル中心部にあり、小便小僧などの名所やレストラン、ホテルが集まる観光拠点になっている。ベルギーでは昨年3月、ブリュッセル空港やEU本部に近い地下鉄の駅で連続テロが起き、32人が死亡した。
5月末以降、イスラム圏ではラマダン(断食月)の時期を迎えたが、欧州ではその前後から、イスラム過激派との関連が疑われるテロが相次いでいる。
5月22日には英マンチェスターのコンサート会場で男が自爆、少女ら22人が死亡。6月3日には英ロンドンで車とナイフを使ったテロが起き、8人が死亡した。いずれも過激派組織「イスラム国」(IS)が関与を主張した。仏パリでも19日、繁華街シャンゼリゼ通りで憲兵隊の車列に乗用車が突っ込むテロ未遂事件が起きた。
イスラムの教えでは、ラマダン中に善行を積めば、ふだん善行を積むよりも天国に行ける可能性が高まるとされるが、ISなどはラマダンを異教徒らと聖戦すべき時だと解釈。テロを後押ししている可能性がある。(ブリュッセル=津阪直樹)