自民党憲法改正推進本部の会合であいさつする保岡興治本部長(中央左)=21日午前10時2分、東京・永田町の党本部、岩下毅撮影
自民党の憲法改正推進本部は21日午前、全体会合を開き、党の新たな改憲原案の年内とりまとめに向け、議論を始めた。安倍晋三首相が9条1、2項を残し、自衛隊を明記するなどの改憲案を示して以降、党所属の全国会議員が参加できる場での本格議論は初めて。
憲法改正「2020年に施行したい」 首相がメッセージ
初回のテーマは9条。推進本部の保岡興治本部長は冒頭、「9条の政府解釈を変えないで自衛隊を憲法に明記するというテーマについて、ご議論をたまわりたい」とあいさつし、首相提案に沿って議論を集約する方針を示した。
会合では「9条が正面の議論になって良かった」と改正項目に9条を据えた首相の姿勢を評価する声が相次いだが、1、2項を残す首相提案には賛否が割れた。佐藤正久・元防衛政務官は、首相提案に「実現可能な選択肢」などと賛成したが、石破茂・元防衛相は、戦力不保持や交戦権否認をうたう2項を削除する2012年の党改憲草案との整合性を疑問視し、「何のための草案か。説明する機会を頂きたい」と反発。青山繁晴参院議員は「9条2項をそのままにすることは賛成できない」と主張した。
推進本部は8月までに、自衛隊明記のほか、教育無償化▽緊急事態条項▽参院選で県境をまたいだ「合区」の解消など選挙のあり方――といった4項目について、議論を一巡させる。