故障する自動改札口が複数あり、訴える乗客たち=21日午後11時32分、京都市下京区のJR京都駅、佐藤慈子撮影
21日夜に発生した京都―新神戸間の停電で運行が大きく乱れた新幹線。乗客らは疲労の色を濃くした。
新幹線運転見合わせ 東京―博多間、復旧めど立たず
「のどが渇き、じわじわ疲れてきた。運転再開の見通しがつかず心細い」
午後6時50分東京発博多行き「のぞみ59号」で新大阪に向かっていた乗客の女性は午後9時ごろから岐阜羽島駅で缶詰め状態となり、疲労と不安を口にした。乗客らはスマートフォンを操作したり、デッキで電話をかけたりしていた。車内販売のお菓子や冷たい飲み物などは次々に売り切れた。「ドアぐらい開けてくれてもいいだろう」と乗務員に掛け合う男性も。午後11時過ぎにドアが開けられ、乗客がどっとホームに出て自動販売機に向かったという。女性は「照明や空調が生きているのでまだましだと思うが、情報が少ないのが困る」と話した。
22日午前0時50分過ぎ、「復旧作業が完了した。最終確認中」との車内アナウンスが入り、同1時10分過ぎ、動き出した。車内には安堵(あんど)したような空気が広がり、座席に深く座り直す人もいた。
21日午後8時50分過ぎに東京を出発した姫路行き「のぞみ」は新横浜でいったん停止後、小田原まで進んで再びストップ。大阪への出張途中だった横浜市の男性会社員(43)は「見通しが立たないのでホテルをキャンセルしていいのかもわからない」と話した。この新幹線は22日午前0時55分ごろ再び動き出したという。
各地の駅は新幹線の運転再開を待つ人たちや列車から降りた人たちで一時、ごった返した。22日午前1時15分ごろ、JR新大阪駅に降りた堺市南区の商社員の男性(55)は「車内は一時、冷房が止まり、暑かった。まさかこんなにかかるとは。とにかくほっとした。今日は会社を休もうと思う」と話した。