朝日新聞が入手した文書。補助金の事後審査について「領収書又は入金証明等の書類は不要」などと記している
学校法人「森友学園」(大阪市)が小学校舎の建設を巡って国土交通省の補助金を不正受給したとされる事件で、補助金交付の窓口団体が事実上、工事費の支払いなどを事後チェックしていなかったことがわかった。学園に代わり申請事務を担った校舎の設計会社も審査体制の甘さを認識していたとみられる。大阪地検特捜部は押収資料の分析などで、不正受給を主導したのが誰か解明を目指す。
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特集:森友学園問題
小学校の校舎と体育館の建築費について、森友学園は2015年12月3日付で金額が異なる3通の契約書を作成。国交省には最高額の「23億8464万円」で提出し、約5644万円を不正受給(今年3月に返還)した、補助金適正化法違反の疑いがある。実際の契約額は約15億5千万円とされ、特捜部は補助申請額が、大幅に水増しされた可能性があるとみている。
問題の補助金は、木材を多く使った建築物の普及を目指す「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」。国交省の公募型事業で、窓口は、同省から委託を受けた一般社団法人「木を活(い)かす建築推進協議会」(東京都港区)が担当する。採択するかどうかは協議会内の、有識者でつくる評価委員会の審査を経て、国交省が決める。
森友学園は15年7月に、建築・設計費の見積もりを21億8千万円とし、1億1875万円の補助を申請した。審査を経て、15年度と16年度で計約6194万円の交付が決まった。その後、実際に施工会社が契約したとする額は約15億5千万円なのに、23億8464万円だったと協議会に申告。15年度分として、約5644万円が支払われた。
協議会の交付マニュアルは、契約書や所定の報告書などを提出しなければならないと定める。さらに「必要に応じて金額が確認できる根拠資料(領収書等)の提出を求めることがある」とも記す。しかし協議会の担当者は朝日新聞の取材に対し、「契約書や報告書を信用して運用していた。(支払いを裏付ける)領収書や、金融機関の入金記録などの支払い証明の提出は求めてこなかった」と説明。現在も見直していないという。担当者は「見直しの議論が必要かどうか検討しなければならないと考えている」と話した。
朝日新聞は、校舎の建築工事に…