那覇市にあった市場の様子。左は発見されたままの白黒写真。中央は自動で色づけした写真。右はこれに現地の資料や記憶を元に補正(レタッチ)したもの(無断転載・複製を禁じます)
人工知能(AI)と沖縄の人々の記憶が、82年前の「色」をよみがえらせる――。朝日新聞と沖縄タイムスは、首都大学東京の渡邉英徳准教授のチームとともに、戦火にさらされる10年前、1935年撮影の沖縄の白黒写真を、現実の風景に近づけていく取り組みを始める。
沖縄戦が奪った命の色彩、再び 挑む出身記者の思いは…
【写真多数】見つかった画像を一挙公開「沖縄1935」
特集:沖縄はいま
早稲田大の石川博教授らの研究グループが開発した、人工知能を使った自動色づけの技術などを活用し、カラー化した。ただ、人工知能が判断材料とするデータの蓄積が少ない沖縄特有の風景や建物の色もあるはずで、今後、現地での取材を重ねて、当時の姿になるべく近いものに修正していく。カラー化した一部の写真は、取材過程とともに紙面やデジタル版で紹介する。
戦後72年。戦争を知る世代は少なくなっている。45年の沖縄戦で焦土と化した沖縄。戦争の悲惨さを改めてかみしめるきっかけになるよう、その10年前の姿を色鮮やかに再現していく。
沖縄タイムスを休職して渡邉准教授(情報デザイン)の下で学んでいる與那覇(よなは)里子さん(34)とともに、両社の記者が、失われた沖縄の「色」を追いかける。
写真は35年に、大阪朝日新聞の記者が撮影。朝日新聞大阪本社に大量のネガが保存されていた。戦前の沖縄の写真の多くは焼失しており、貴重な写真群。