マツコ・デラックスさんと森井大輝さん
目標は、パラリンピックでの金メダル。男子座位のアルペンスキーで、これまで手にしたメダルは、銀三つと銅一つ。悲願の「金」を取るために来年3月の平昌パラリンピックを目指す森井大輝(36)に、タレントで日本財団パラリンピックサポートセンター顧問のマツコ・デラックスさんが迫った。(構成・榊原一生 写真・竹花徹朗)
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マツコ(以下、マ) うわ、すごい胸の筋肉ね。腕も太いし。
森井(以下、森) 腰から上だけですけど。
マ 数多くのパラアスリートを見てきたけど、質のよさそうな筋肉だわ。
森 競技を始めた17歳の頃は50キロと細かったんですが、体重を増やそうと肉体改造をし、今は65キロ。増えるとともに滑りが安定し、成績が出始めたんです。
マ パラリンピックでは3大会連続で「銀」でしょ。モヤモヤした気持ちなのは分かります。平昌にかける思いは相当よね。
森 欲しいのは金メダル。前回のソチではスーパー大回転で2位。前日のレースで転倒し体を痛めていただけにホッとした思いがあったんですが、それでも悔しい思いがありました。
マ 森井さんは東京都出身でしょ。なぜスキーを。
森 母方の祖父が秋田出身で、よくスキー場に連れられて滑っていたんです。
マ それでなんだ。
森 中学ではモーグル、高校はアルペンに熱中していました。
マ スキーを心から楽しんでいたからこそ、両足の自由を失っても、また雪上に戻ってきたのね。
森 16歳の時のバイク事故で脊髄(せきずい)損傷し、どん底を味わいました。入院中は友人が見舞いに来ても作り笑いしかできなかった。その時テレビで見た1998年長野パラリンピックに衝撃を受けたんです。
マ 何を見たの?
森 ゴールした選手たちがハイタッチをし、のどの奥が見えるくらい笑っていた。同じ障害のある選手がパラであんなに笑顔になるんだ、と驚いた。僕もあんなふうに笑いたいと思ったのが大きかったですね。
マ それから20年……。その間、計四つのメダルを獲得し、ワールドカップ(W杯)の総合覇者にもなるなどアルペン界のトップを走り続けてきた。すごい。さらに驚かされるのは、強くなるためのノウハウを後輩たちに伝え続けてきたことよ。
森 後輩でライバルの狩野亮や…