ウォータージャンプ場で練習する田原直哉
来年2月の平昌(ピョンチャン)五輪を目指す体操の元トップ選手がいる。フリースタイルスキー男子エアリアルの田原直哉(たばらなおや、36歳)=ミルキーウェイ。競技転向を決意した日から、もう11年が過ぎた。悲願の五輪切符をつかむため、人生と生活の全てをかけた挑戦が続いている。
6月下旬、ジャンプ台を滑ってプールに飛び込む長野・白馬のウォータージャンプ場で、黙々と空中技の練習に打ち込んでいた。跳んでいたのは試合で使う3回転4回ひねりではなく、2回転技。勝負のシーズンを前に、もう一度じっくりと基礎から積み上げる作業だ。
和歌山市出身。8歳で始めた体操で頭角を現し、日体大生だった20歳の時、ナショナルチームにも選ばれた。ただ、2004年アテネ五輪の代表入りを逃した後から、競技人生は思わぬ方向に進んでいった。
次の北京五輪を見据えた矢先に右肩を故障し、06年に引退。失意の中で出会ったのがエアリアルだった。スキー経験はゼロに近かったが、「体操の感覚が生きるのでは」と、かなわなかった五輪出場の夢を雪上に求めた。
ただ、「そんなに甘くなかった」と田原は振り返る。簡単にできると思った回転やひねりは、「板とブーツで重心が変わるから、体操とは全然違った」。
10年バンクーバー五輪の出場…