大雨のメカニズムのイメージ
九州北部を襲った記録的な豪雨は、流れ込んだ大量の土砂や木々などにより大きな被害をもたらした。5年前の災害と重なる時期や地域。専門家は、過去の災害の原因にもなった「線状降水帯」の存在を指摘する。気象庁の警報や各自治体の避難の指示は、適切に出されたのか。
九州豪雨、死亡者3人に 安否不明19人 7日も雨予想
被害が出た福岡県朝倉市付近には5日昼ごろから、「線状降水帯」と呼ばれる積乱雲の帯が居座り続けた。このため記録的な雨量になったとみられている。
九州大の西山浩司助教(気象工学)は「気象庁のレーダーによると線状降水帯は9時間以上停滞した。これほど狭い範囲に長時間停滞するのは驚きだ」と話す。
気象庁によると、積乱雲の帯はいくつかの条件が重なってできた。一つは湿った空気の流れ込みだ。九州の北側にあった梅雨前線に向かい、南西の東シナ海側から暖かく湿った空気がもたらされた。
さらに地形の影響が加わった。福岡・佐賀県境の脊振山地の南北からきた湿った空気が東端付近でぶつかって上昇。上空には寒気があり、積乱雲ができやすい条件も整っていた。ここで発生した積乱雲が、朝倉市がある東の方向へ流れていった。積乱雲一つひとつの寿命は1時間ほどだが、湿った空気が同じ場所でぶつかり続け、次々に新たな積乱雲ができて豪雨につながった。
こうした線状降水帯は、九州西…