核兵器禁止条約の採択を見届け、拍手するサーロー節子さん(右)=7日、米ニューヨークの国連本部、久保田侑暉撮影
ヒバクシャの訴えが、世界を動かした。米ニューヨークの国連本部で7日採択された核兵器禁止条約。むごたらしい被爆者の体験と悲痛な叫びが、新たな国際ルールに結実した。ただ、核保有国や日本政府は署名しない方針で、核廃絶への取り組みは道半ばだ。
核兵器禁止条約採択、米など反発 日本は「署名しない」
「亡くなった数十万の人々。彼らはみな、それぞれに名前を持っていました。そして、みな誰かに愛されていました」
核兵器禁止条約採択後の7日午後(日本時間8日早朝)、米ニューヨークの国連本部。カナダ在住の被爆者、サーロー節子さん(85)の力強い声が響く。
「私はこの日を70年以上待ち続けていました」
明瞭で、訴えかけるような英語のスピーチに、各国代表やNGO関係者らがじっと耳を傾ける。
これまでの核抑止政策を失敗と断じ、「我々は取り返しのつかない環境汚染を繰り返しません。将来世代の命を危険にさらすことを続けません。世界各国の指導者たちに懇願します。もしあなたがこの惑星を愛しているのなら、この条約に署名してください」。
最後は、こう締めくくった。
「核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。そして今では、法律にも反するのです。一緒に世界を変えていきましょう」
会場はほぼ総立ち。盛大な拍手…