イラクのアバディ首相は10日夜(日本時間11日未明)、過激派組織「イスラム国」(IS)の最大拠点だった北部モスルでの完全勝利を発表した。アバディ氏は9日、モスルの事実上の解放をツイッターで宣言していたが、IS戦闘員の残党が立てこもっていたモスル旧市街の最後の戦闘地域の解放を待って、正式に勝利宣言をした。
イラク首相、IS拠点のモスル解放発表 正式に勝利宣言
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アバディ氏は、旧市街に近いイラク軍の前線司令本部前で演説した。「我々はモスルでダーイシュ(ISのアラビア語略称)が樹立を宣言した偽りのテロリスト国家の失敗と崩壊をここで宣言する」と述べた。
2014年6月にISの前身組織に占拠されてから3年でモスルは奪還された。だが、避難民を装ったIS戦闘員や信奉者がモスル市内で自爆攻撃や奇襲を繰り返しており、治安が不安定な状態は当面続きそうだ。
モスルは人口約200万人のイラク第2の都市。インフラの破壊は甚大で、復興には莫大(ばくだい)な資金と時間がかかる。国連の担当者は7月6日、モスルの基礎的なインフラの復旧に少なくとも10億ドル(約1100億円)以上の費用がかかるとの見通しをロイター通信に示した。
また、ISの恐怖支配を受けたモスル住民の精神的ダメージも深刻だ。住民の中にIS支持者がいたことから、地元に戻っても、IS批判をすれば報復されるのではないかという不安にさいなまれている。
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