力投を続けた佐渡の菊地=五十公野、坂名信行撮影
(11日、高校野球新潟大会 柏崎6―2佐渡 )
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離島のプロ注目右腕が初戦で姿を消した。最速145キロの佐渡高(新潟)の菊地大稀(たいき)(3年)が11日、2回戦の柏崎高戦に先発したが、1点リードで迎えた八回、6長短打で5点を奪われ、逆転負けを喫した。
勝利は見えかけていた。「抑えなきゃいけない場面で甘くなってしまった」。八回、先頭から簡単に2死を取った。だが、そこから二塁打と三塁打で同点を許す。
「まだ、体力や(精神的)強さが足りなかった」と勢いづいた相手をその後も止められなかった。
一回こそ三者凡退に抑えたが、二回からは毎回走者を背負う苦しい投球だった。実は6月下旬に右足太もも裏を痛め、その後は試合で登板できず、十分な準備ができていなかった。
この日、新発田市にある五十公野球場には多くのプロスカウトが集まった。周囲から期待されることには「野球の意識が高まる」と前向きに捉えていたが、部員30人の佐渡高を押し上げるまでの力を出し切れなかった。
菊地は父親の正博さん(49)が少年野球の監督をすることになったのをきっかけに、小学1年生から野球を始めた。同じ時期に取り組んでいた柔道は黒帯の実力を持つ。野球のポジションはずっと投手。小学校6年生だった2011年、選抜に出場した佐渡高の姿を見て、同校で甲子園に出場する夢を描いた。
佐渡では、1年夏からベンチ入りした。憧れの大谷翔平(日本ハム)の動画などを見て、投球フォームを磨き続けた。しかし、同校で初の夏の甲子園出場の夢は初戦で消えてしまった。
名前の大稀は、「稀(まれ)に見る大きな人になってほしい」という願いから。試合後、泣いていた菊地は将来のことを聞かれると、「プロを目標にしたい。佐渡からプロ野球選手はまだ出ていないので、それを自分が成し遂げたい。目標です」。しっかりとした口調で言った。(坂名信行)