同僚らに睡眠導入剤を混ぜたお茶を飲ませ、交通事故を起こさせて殺害しようとしたとして、千葉県印西市の老人ホームに勤務していた准看護師の女が県警に逮捕された事件で、この施設で半年前から5人の職員が強い眠気やめまいの症状を訴えていたことが関係者への取材でわかった。捜査関係者によると、女は複数の職員に薬を飲ませたことを認めており、県警は混入を繰り返していたとみて調べている。
事件前から眠気訴える職員続出 睡眠薬で殺人未遂容疑
准看護師を殺人未遂容疑で逮捕 睡眠薬で事故起こさせる
殺人未遂容疑で11日に逮捕されたのは印西市大森の波田野(はたの)愛子容疑者(71)。県警によると、同僚の女性(69)と迎えに来ていた女性の夫(71)が車で帰宅すると知りながら、5月15日に事務室で睡眠導入剤入りのお茶を飲ませて、意識障害などにより交通事故を起こさせ、夫婦と事故の相手の男性(56)を殺害しようとした疑いがある。
関係者の話では、1月以降、13人の職員のうち、交通事故に巻き込まれた女性を含めて5人が強い眠気やめまいの症状を訴えた。断続的に症状が出るため、波田野容疑者に健康相談をしたり、病院で精密検査を受けたりした職員もいたという。
捜査関係者によると、波田野容疑者は県警の調べに、睡眠導入剤入りのお茶を複数の職員に飲ませたことを認めている。職員が飲もうとしていたお茶に混入したり、湯飲みなどを差し出して「どうぞ」などと勧めたりしたこともあったという。一方、約50人いる入所者で同様の症状を訴える人はいなかった。県警は波田野容疑者が1月以降に体調不良になった職員たちに睡眠導入剤を飲ませたとみており、事件の背景を調べている。(川嶋かえ、小松重則)