栃ノ心(右)を破り、5勝目を挙げた高安=戸村登撮影
(14日、大相撲名古屋場所6日目)
相撲特集:どすこいタイムズ
稀勢の里ら3人の横綱、大関がいなくなった名古屋の土俵で、新大関の存在感が増してきた。5連勝の高安が上位勢で唯一、星の差一つで白鵬を追っている。
我慢の相撲だった。栃ノ心に強烈なかちあげを見舞って激しい突き押しを繰り出すはずが、立ち合いが「中途半端」。突き手が伸びず、切り替えて組みにいくと力自慢の相手に両前まわしを取られてしまった。頭をつけられ、命綱は左下手のまわしだけ。圧倒的に不利な形に陥った。
だが、気持ちは諦めていなかった。「横綱と稽古場でああいう形になることが多い」。兄弟子・稀勢の里相手に対策済みだ。出し投げで揺さぶった。3度目の投げで、相手の左前まわしを切った。左四つで胸を合わせてしまえば大関の形。1分35秒をかけ、寄り切って仕留めた。
「短時間の取組が多かったから、苦労して勝つのもいいですね」。新たな地位で臨む今場所、初日こそ動きが硬く星を落としたが、調子が戻ってきた。「千秋楽まで自分が大関として頑張って、少しでもお客さんに喜んでもらえたらいい」。看板力士としての自覚も芽生えている。
白鵬のライバルがいなくなる中、八角理事長(元横綱北勝海)は「早めに勝ち越して気持ちよくいけば、高安にもチャンスはある」という。「残り全部勝つつもりでやります」という高安。その活躍が、場所を盛り上げる。(菅沼遼)
○宇良 幕下時代から通算7度目の対戦で貴景勝に初勝利。入門前から稽古した相手と幕内上位で対戦することに「自分でもちょっと信じられない」。
○千代翔馬 激しい攻防で館内を沸かせる。「気持ちいいね。勝っても負けてもいい相撲で盛り上げたい」
●貴ノ岩 幕内唯一の6連敗。「ダメなときはとことんダメ。すべてがダメ」
○白鵬 初顔の北勝富士を危なげなく下す。「しっかり当たってきたと思うよ」と余裕の表情で相手をたたえる。
●北勝富士 初挑戦の白鵬のいなしにつんのめる。「負けるなら『これが横綱か』というくらいの印象が欲しかった。力でねじ伏せられたかった。どMじゃないですよ?」
○碧山 付け人3人がそろって勝ったといい、「最後に俺だけ勝てないのはイヤだった」。苦手の貴ノ岩を破り、幕内で初めて初日から6連勝。
●貴景勝 宇良の変化にはまる。「いつもと目の動きが違ったんで、何か来るだろうなと。あっちどうこうより、自分の足の運びが合わなかった」