東京電力福島第一原発事故の除染事業を巡って、準大手ゼネコン・安藤ハザマ(東京)が領収書を計8千万円分改ざんし、発注元の福島県いわき市と田村市から宿泊費の支払いを受けた問題で、同社の調査委員会が「過大請求、不正受給の事実は認められない」などと、詐欺容疑を否定する内容の報告書をまとめたことが関係者の話でわかった。
安藤ハザマ、水増しの8千万円を不正受給か 除染費巡り
東京地検特捜部は先月、同容疑で同社や関係先を家宅捜索しており、改ざんの経緯を調べている。
同社は先月、2012~15年に実施した同事業で、作業員の宿泊単価と人数を計約8千万円分水増しした領収書を作ったと発表し、調査委員会を立ち上げた。
国の通達を受けた福島県の通知は、除染事業に関する宿泊費を請求するには、領収書などに基づく受注業者と発注元の事前協議を義務づけている。だが、最初の契約では宿泊費の精算は不要とされ、両市から領収書を求められた時期も遅かったため、現場担当者は下請け会社から集めていない領収書もあったという。
担当者は、この穴埋めのため「旅館を所有する下請け会社に足りない領収書を補うよう改ざんを頼んだ」と説明。「精算額を多くして(発注元から)だまし取ろうとする意図はなかった」と主張したという。改ざん領収書で受け取った額より、宿泊の実費が多くかかっており、調査委員会は説明は事実で詐欺の意図はなかったと結論づけた。
一方、両市の担当者は、取材に対し「改ざんされた領収書がなければ宿泊費は支払わなかった」と述べ、不適切な支払いだった、との見方を示している。