青森山田の「和製ロナウド」こと中村駿太=7月31日、宮城県利府町
元ブラジル代表のFWロナウドをほうふつさせる「和製ロナウド」の最初で最後の全国高校総体は、3回戦で幕を閉じた。7月31日、サッカー男子で前橋育英に1―3で敗れた青森山田のFW中村駿太(3年)は「自分がチームを勝たせたいと思っていた。自分の力不足です」と涙を見せた。
【インスタグラム】朝日新聞スポーツのアカウントでは、高校総体の様々なシーンを投稿中
小学校から柏レイソル(千葉)の下部組織に所属。小学生のときに相手チームの監督に「ロナウドみたいだ」と言われたのをきっかけに、「和製ロナウド」と呼ばれるようになった。髪形は同じ坊主頭。「プレースタイルは似ていないと思うけど、意識はしています」
今年の冬、柏の下部組織を退団し、全国高校選手権で優勝した青森山田への転校を決めた。当時は年代別の日本代表候補にも選ばれ、柏のエースとして活躍していたが、「自分の目標はプロになること。このままじゃダメだ、と思っていた」。
もともと高校サッカーへの憧れはあった。青森山田の黒田剛監督の指導をテレビで見たり、代表候補で一緒で、青森山田を2016年春に卒業した神谷優太(現J2湘南)に話を聞いたりして心が動いた。「ここなら、自分はもっと成長できる。迷いはなかった」
実際に青森に行き、考え方が変わったという。ユース時代は練習に行って帰っての毎日だったが、青森山田では寮や学校での生活から厳しく指導され、服装、歩き方や小さなことも徹底的に指摘を受けた。黒田監督には「ここでは学校生活からが勝負。しっかりと取り組まないやつは試合にも使わない」と言われた。
4カ月でチームに溶け込み、迎えた今大会。2試合ともゴールを決めることはできなかったが、華麗なプレーで会場を沸かせた。「ユースでプレーしていたときには見たことのないほどお客さんがいた。『これが高校サッカーなんだ』と思った」
だからこそ、チームを勝たせられなかった自分が悔しいという。「次は選手権で、借りを返したい」。額の汗をぬぐい、誓った。(照屋健)