3日午後4時50分ごろ、東京都中央区築地4丁目の築地場外市場から出火し、ラーメン店「井上」の店舗など少なくとも計7棟935平方メートルが焼けた。東京消防庁の消防車など63台が消火活動にあたり、約8時間後にほぼ消し止められた。けが人はいなかった。同庁や警視庁が詳しい出火原因を調べている。
現場周辺には一時、視界が遮られるほどの煙や灰が充満した。この火事の影響で付近の約90軒が停電し、市場の前の都道約150メートルも通行止めになった。
近くの食品店経営田所惇子さん(76)は、煙の臭いで火事に気づいた。「多くの店が営業終了後で、市場にとって『夜中』のような時間帯だ。店が密集しており、一気に火が回る。本当に怖い」。場外で青果業を営む内野房枝さん(62)も「赤い炎が高く上がっていた。店の中はどうなっているのか。明日営業できるか心配だ」と話した。
現場近くの海鮮丼店の従業員の松本一夫さん(57)は「周辺から煙が上がり、店から避難したままの状態だ。店舗が水をかぶっているかも知れない。常連さんのためにも早く再開したいが、今は状況を見守るだけ」と心配そうに消火活動を見守った。
すしチェーン「すしざんまい」も火事の影響で、本店など築地4丁目にある3店舗の営業を急きょ取りやめた。運営会社「喜代村」によると、再開のめどは立っていないという。
築地場外市場は、築地4丁目と6丁目にまたがる縦400メートル、横130メートルの範囲内に飲食店や水産物店計約400店が軒を連ねる民設の市場。公設の築地市場は豊洲市場へ移転予定だが、場外市場はいまの場所で存続する。