記者会見する川村正幸さん=文部科学省
高知県南国市立中学3年の川村嘉寛(よしひろ)さん(当時15)の2015年9月の自殺の原因を調べた市教育委員会の第三者委員会報告書を不服として、両親が4日、文部科学省児童生徒課を訪ね、市教委に再調査させるよう指導を求める要請書を提出した。同課は「遺族への丁寧な説明がない」と指摘し、市教委に遺族との話し合いの場を設けるよう求めた。
第三者委報告書では、中学1、2年の頃のいじめは認定したが、自殺の原因についてはいじめ・からかいや学業不振、家庭的背景など「複数の要因が関わった」とするにとどめた。一方、両親は要請書で「いじめが直接の原因ではないか」と指摘。第三者委の議事録が作成されず、議論の経緯も不明だと訴えた。
文科省児童生徒課の坪田知広課長は報道陣に「(遺族に)全体の説明はあったようだが、一つ一つの疑問への説明はなく、不信感が続いていた。心情に寄り添った対応が全くできずに今に至っている」と語った。
会見した父の正幸さん(49)は「いま一度真摯(しんし)に考えて、いじめをなくしていければとの思い、私たちのような暗い、悲しい親御さんが増えないようにとの思いで、勇気を持って実名で会見した」と説明。そのうえで報告書について「『弁当箱をひっくり返された』などいじめと思われる件があったのに、うわさの域を出ないと書かれている」と指摘。「(責任を)遺族や本人になすりつけている」と批判した。さらに「命が絶たれたことを重く受け止め、もっと深掘りする調査をしてほしい」と訴えた。
嘉寛さんは15年9月1日早朝、自宅の庭先で首をつって死亡しているのを両親が発見。弁護士や精神科医ら6人の第三者委が翌年2月に報告書をまとめた。(高木智也)