液晶技術を応用した蓄冷材を持つシャープの西橋雅子さん=奈良県天理市
シャープの社内ベンチャーが液晶の技術を活用し、日本酒用の保冷バッグとして売り出した。社内でくすぶっていた新事業案の一つだったが、鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)が親会社となり、事業化が進んだ。夏用の寝具向けなど、食品以外への展開ももくろむ。
特集:シャープ
シャープの保冷バッグは、埼玉県幸手(さって)市にある石井酒造の日本酒「冬単衣(ひとえ)」(4合瓶、税込み6600円)とセットにし、6月に3千袋が完売した。冷凍庫に入れておいた蓄冷材をバッグに入れ、その中に瓶を約30分間置くと、酒がマイナス5度前後に冷える。飲むときには「冬単衣を飲むには最適」(石井酒造)というマイナス2度になるという。
バッグをつくったのは、今年3月にできたシャープの社内ベンチャー「テキオンラボ」(西橋雅子代表)。蓄冷材は、シャープが得意の液晶の研究過程で生まれた。液晶パネルは、中に使われる化合物が固体と液体の中間状態を維持することで、映像が表示できる。外気温が変わっても固体や液体にならないよう、成分を調整している。
この調整の仕方を生かし、蓄冷材に使う添加剤の配合を変えると、マイナス24~プラス28度の間であれば、蓄冷材の温度を1~3度刻みで調節できるようになった。今回の保冷バッグはマイナス5度前後を約2時間、保てるという。
事業案は以前からあったが、経…