(26日、阪神8―4巨人)
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超人――。
身体能力の高さに加え、ときに常人には考えられない力を発揮するから、阪神の糸井はそう呼ばれる。
この夜、巨人の先発は、初対戦の新人・谷岡(東芝)。片岡打撃コーチいわく、「どういう球を投げるか、分からない」という21歳の右腕だ。
二回の第2打席に、糸井は超人ぶりを発揮した。走者2人を置いた好機で、簡単に2ストライクに追い込まれた。が、3球目、内角低めの厳しいスライダーをすくい上げた。打球は右翼席へ一直線。CS争いのライバル、巨人に先制パンチを浴びせた。
走攻守そろった強打者は、開幕から主に3番に座っていた。ところが、最近は1番を務めることがある。阪神のチーム打率は25日現在、リーグ4位の2割4分9厘。休ませながら中軸で起用する40歳の福留も、117キロの巨漢ロジャースも万全な状態のときに、長打が見込める糸井を1番に置くことができ、課題の打線に爆発力が生まれる。
超人とはいえ、36歳。今季は度重なるけがに悩まされてきたが、右脇腹の筋挫傷(ざしょう)から1軍に戻ってきた今月17日以降、絶好調だ。この夜の一発で8試合連続安打となり、復帰後の打率は3割7分8厘をマーク。盗塁も四つ成功させている。
先発に糸井の名前が連なるようになってから、チームは6勝2敗。勝ち越し数を今季最多に並ぶ「13」に伸ばした。ときには言葉で説明できない超人の適応力が、佳境を迎えたペナントレースで鍵を握っている。(井上翔太)
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○金本監督(神) 二回の5得点は2死から。「チームの状態がいいときは、2死から点が取れる。後ろへ後ろへという気持ちでしてくれる」
○能見(神) 5回3失点で、7試合ぶりの勝ち星。「逃げることなく、攻める気持ちで投げました」
○大山(神) 八回1死満塁で2点適時打。「最低でも外野フライ、と思っていた。チームにとっても大きかったです」