プロ初勝利を挙げた阪神の小野
(29日、阪神3―0ヤクルト)
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今年1月に阪神のドラフト2位小野泰己(富士大)が入寮したとき、ボールを持ち込んだ。そこには「皆と俺がおる!」と書かれていた。福岡・折尾愛真高時代の恩師からもらった言葉だ。プロ初勝利も、周囲に支えられてのものだった。
立ち上がりから、様子がおかしい。速球が上ずり、ストライクが入らない。一回1死から、7球連続でボール。ただ、味方の守備に助けられた。1死一塁。バレンティンを見逃し三振に仕留めると、二塁にスタートしていた一塁走者の山崎を捕手の坂本が刺した。
三回途中から、修正を試みた。セットポジションから、走者がいなくてもクイック動作で投げる。「その方がいいと、梅野さんから声をかけてもらった」と小野。序盤は毎回のように四球で走者を出したが、少しずつ制球も安定。中谷の好守備もあり、6回無失点で盤石の救援陣につないだ。
過去12度、先発しても勝ち星がつかなかった。一回から崩れたり、打順の3回り目でとらえられたり。それでも首脳陣は「春のブルペンで投げたストレートにほれ込んだ」(金本監督)とチャンスを与え続けた。期待にやっと応えられたプロ初勝利でもある。
「先発投手にとって、勝ちは一番の薬」とは香田投手コーチ。1週間後の次回登板に向けて調整する心持ちも、これまでとは少し違うだろう。今度は力を出し切って勝てた、と胸を張れるように。ルーキーの挑戦は続く。(井上翔太)
○金本監督(神) 小野について「3ボールから三振を取れたり、(バットを)押し込めたりする威力があった」。
○上本(神) 五回に中前適時打。「とにかく(後ろに)つなぐことを考えた。追加点の欲しいところで打ててよかった」
○鳥谷(神) 通算2千安打まで残り9本に迫る一打は、二回の中前適時打。「積極的に打ちにいった結果、抜けてくれてよかった」