中京学院大中京―茗渓学園 優勝を決めて喜ぶ中京学院大中京の選手たち=明石トーカロ、筋野健太撮影
(29日、中京学院大中京1―0茗渓学園)
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第62回全国高校軟式野球選手権大会(日本高校野球連盟主催、朝日新聞社、毎日新聞社など後援)は29日、兵庫県明石市の明石トーカロ球場で決勝があり、中京学院大中京(東海・岐阜)が茗渓学園(北関東・茨城)を1―0で下し、3年ぶり8度目の優勝を果たした。
中京学院大中京、茗渓学園破り8度目V 高校軟式野球
2年ぶり21回目出場の中京学院大中京(旧校名は中京)は、準決勝で延長五十回を戦った2014年以来の大会制覇。チームとしては大会史上8度目となる無失点優勝で、エースの佐伯は4試合38回を完封した。
2年生右腕には、最速143キロの直球よりも頼れるものがあった。「先輩たちがさばいてくれる」。決勝。中京学院大中京の佐伯は信じていた。
展開は膠着(こうちゃく)した。相手は地方大会から無失策で勝ち上がってきた茗渓学園。ベンチで平中監督が何度も言う。「我慢だ、我慢」。その言葉に3年生が応えた。
四回、相手の4番森岡の打球が二遊間へ。二塁手伊藤が捕ってからすばやく、ワンバウンド送球でアウトにした。伊藤は3年前、延長五十回を崇徳と戦った先輩をスタンドから見て、中京伝統の堅守に感動した。「投手中心に最少失点。僕たちもそれを目指してきた」。春休みの練習は5時間をゲーム形式のノックにあて、平日も半分以上が守備。内野も外野もワンバウンド送球を徹底してきた。
五回は主将の内木。先頭打者の飛球が中前に落ちかける。「ここは勝負。ノックではこういう打球を何度も捕ってきた」とダイビングで好捕。つけいる隙を与えなかった。
八回、相手のバッテリーミスで均衡は破れた。3年ぶりの頂点。4試合で失策はわずか1。佐伯は1点も失わなかった。監督は勝因をこう語った。「よく粘った。守備につきます」
佐伯は地方大会も含めると、70イニングで無失点。優勝をかみしめる前に、来年に向けて言った。「今年みたいにバックを信じて投げられるチームになって戻ってきたい」。伝統は引き継がれていく。(小俣勇貴)