(9日、川崎3―0横浜マ)
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何のために、守るのか。川崎のシンプルな一念が、リーグ戦14試合連続で負け無しだった横浜マを打ち破った。
「後半は、前から守備にいこうと声をかけあった」と先制ゴールのMF大島。12分、敵陣でMF阿部が相手からかすめとった球を、最後はFW小林が持ち込みゴールネットを揺らした。30分にはMF中村が敵陣深くで厳しいチェックをしかけて球を奪い、パスを受けたMF家長が落ち着いて決めた。リーグ最少失点の横浜マが、1試合で3失点するのは今季初めてだった。
短いパスをつなぐ攻撃的なサッカーが得意の川崎は、攻めに出てくる相手との相性がいい。首位の鹿島には今季のリーグ戦で2戦2勝。一方で「攻撃が手詰まりになると、どうしようもなかった」と中村。守りを固めて逆襲を狙うチームが苦手で、横浜マには6月に0―2で完敗していた。
今季、コーチから昇格した鬼木監督が口うるさく言い続けていることは、チーム全体が守備の意識を高く持つこと。単に失点を防ぐことだけが目的ではない。「自分たちが攻め続けるために球を奪う意識。前で奪えれば、それだけ少ないパワーでシュートまでいける」とDF奈良。この夜、指揮官の狙いを選手たちが体現した。
横浜マをかわして2位に浮上。中村は「自分たちが貫くべきサッカーのかたちが見えている」。チームが成熟したその先に、悲願のJ1初優勝が見えてくる。(清水寿之)
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○鬼木監督(川) 「選手たちは気持ちのこもったプレーをみせてくれた。チームは一歩ずつ前に進んでいる。自信につながる勝利だ」
○小林(川) 貴重な追加点を挙げた主将。「相手は守備が堅いので、チャンスは1、2回しかないと思っていた。思い切って真ん中に蹴ったら、うまく入った」
●モンバエルツ監督(マ) 川崎の前線からの守備について「予測してトレーニングしてきたが、選手たちは正確な判断ができず、ミスが多くて相手に得点を与えてしまった」。