航空自衛隊奈良基地(奈良市)に勤務していた男性隊員(当時49)がうつ病を発症して自殺したのは、過酷な長時間労働などが原因だとして、滋賀県に住む妻ら遺族4人が約8千万円の損害賠償を国に求めた訴訟が、大津地裁で和解した。和解調書によると、国が7400万円を支払う内容。和解は今月12日付。
訴状によると、男性は空自奈良基地にある幹部候補生学校の総務課に2006年4月から勤務。文書の審査や保管などの通常業務に加え、記念行事準備や秘密保全業務などもたてこみ、うつ病を発症し、同年9月に自殺した。自殺前の1カ月間の時間外労働は月約100時間、5カ月間では計約375時間に及び、遺書には、部下が欠員の中での業務の過酷さを訴える記述があったという。
遺族側は15年11月に大津地裁に提訴し、「労働時間や業務量を把握することなく、労働時間を軽減しないまま、漫然と過剰な業務に従事させ、精神疾患を発症させた」と訴えていた。
国は14年に男性の死を公務災害(労災)と認定していた。空自奈良基地広報室は「コメントを差し控えたい」としている。(藤牧幸一)