日産自動車九州と日産車体九州は、国内生産の主力拠点だ=4月、福岡県苅田町、田幸香純撮影
日産自動車は29日、新車の出荷前に必要な完成検査を、無資格の従業員がしていたと発表した。道路運送車両法に違反する可能性があり、同社は在庫車の登録手続きを一時停止した。対象は軽乗用車を除く約6万台。国内販売の21車種全てが含まれる。再検査が終わるまで登録ができず、販売契約済みの在庫車は納車が遅れる可能性がある。
全工場でずさん検査、日産打撃 法令軽視の批判は必至
約6万台のほか、検査に不備があったのにすでに販売され、一般のユーザーに渡っている車も多数あるとみられ、これらも再検査する。対象の顧客には今後連絡するという。再検査が必要な台数は「100万台に上る可能性がある」とし、同社はリコール(回収・無償修理)を検討している。
完成検査はブレーキの掛かり具合などを最終的に確認するもので、法律に基づき、各メーカーの認定を受けた検査員がしなければならない。だが同社は追浜工場(神奈川県横須賀市)や栃木工場(栃木県上三川町)、日産九州(福岡県苅田町)など、国内全6工場で無認定の従業員が実施していた。国土交通省が今月18日、工場に立ち入り調査し、判明した。
同社は、いつから無認定者が検査をしていたか「特定できていない」としつつ、「検査自体はしているので安全性に問題はないと思う」と説明。問題の背景については「どうしても甘さがあって結果的にそうなったと思う」と述べた。従業員は同社に「自分は検査をできると思っていた」と説明しているという。
同社は今後、在庫車を再検査し…