産直市場グリーンファームではこの春、40頭ほどの子ヤギが生まれた=伊那市
ヤギ、自宅に貸し出します――。レンタカーならぬ、レンタルヤギが人気を呼んでいる。庭の除草をしてくれ、ペットとして癒やしにもなると引っ張りだこ。活躍の場は都市部にも広がっている。
特集:どうぶつ新聞
「あずき、しろまめ、散歩行くぞ~」。長野県茅野市の幼稚園児、石田新乃助くん(6)が声を掛けると、2頭は「メェ~」と勢いよく手綱を引っ張った。
2歳弱のあずきと昨年12月に生まれたばかりのしろまめが、家にやって来たのは今年4月。動物好きの母親の文(あや)さん(44)が、飼っていた知人に触発されたのがきっかけだ。戸建ての庭に廃材でつくった小屋とケージを用意した。
2頭は庭で雑草をせっせと食べる。除草剤や機械を使わない「除草名人」は環境にも優しい。「犬とは違って野性味があるのが魅力。癒やされるし、生き物を世話させることで、子どもにも良い経験になっている」と文さん。近所からも可愛がられているという。
現在は3カ月レンタルを延長中だが、文さんは買い取ることも考えている。「動物を飼うことを軽はずみに考えてはいけないので、レンタルは『お試し』できる良いサービスだと思います」
2頭を貸し出しているのは、伊那市の農産物直売所「産直市場グリーンファーム」。「昔はどこの農家でも飼われていたヤギの魅力を知ってもらいたい」との思いから2012年にサービスを始めた。当初は年間17頭しか利用がなかったが、年々人気を集め、今では年間100頭前後を貸し出す。今年も埼玉や神奈川など首都圏から申し込みが殺到。レンタル先の8割が一般家庭で、高齢者施設や学校からの要望も多い。
飼育する約170頭は、冬の期…