受賞決定の喜びを語るICAN国際運営委員の川崎哲さん=6日、米ニューヨーク近郊のニューアーク空港、金成隆一撮影
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲(あきら)・国際運営委員(48)は6日、米ニューヨーク近郊の空港で報道陣に対し、「核兵器廃絶に努力してきた全ての人、中でも核兵器の非人道性を訴えてきた広島や長崎の被爆者、世界中の核実験で被害を受けた人たちの受賞だ」と意義を強調した。
特集:核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)
核兵器禁止条約は今年7月、122カ国の賛成で採択された。核兵器廃絶の運動を20年近く続けてきた川崎氏は「核軍縮が思うように進まず、くじけそうになる時も多かったが、条約採択と今回の受賞で『やればできる』と確信を深めることができた」と語り、今後も被爆者と世界を回り、核兵器の恐ろしさを伝える活動を進めていく意気込みを語った。
核廃絶の議論は、これまで外交官や専門家、特定の市民団体など「狭い世界」で繰り広げられてきたが、「受賞を機により多くの人が核問題に関心を持つようになる」と期待した上で、条約に不賛同の日本について「本当にそれでよいのかという議論を深め、再考を促したい」と語った。22日投開票の衆院選に向け、各政党に核禁止条約への立場を表明するよう求めていくという。
また、被爆者の高齢化が進む中、条約ができたことについて、「被爆者は自分の体験で『核はダメだ』と言えたが、私を含めて今後の世代は言えなくなる。だからこそ核兵器は違法という規範になる条約の意義は大きい。条約が被爆者の遺言になる」と強調した。
川崎氏はICANに加わるNGO「ピースボート」の共同代表。アイスランドの首都レイキャビクで開かれる同NGOの被爆者証言集会に参加するため移動中の機内で受賞を知り、急きょ経由地ニューヨークで記者団の取材に応じた。(ニューヨーク=金成隆一)