夏場所で綱とりに挑む稀勢の里
大相撲夏場所が8日に初日を迎える。賜杯(しはい)争いは、史上最多を更新する37度目の優勝を狙う白鵬が頭一つ抜けているが、ほかの力士も黙ってはいない。特に注目を集めるのが稀勢の里。春場所で優勝に次ぐ自己最多タイの13勝を挙げたことから、夏の成績次第では綱とりの可能性も出てきた。
どすこいタイムズ
本場所を翌日に控えた7日、東京・国技館での土俵祭に臨んだ稀勢の里は、「いい具合の感じで仕上がった」とほほ笑んだ。大きなけがもなく、二所ノ関一門の連合稽古などで精力的に汗を流してきた。持ち味の左おっつけに強さが増し、ライバル琴奨菊を一気に押し込む場面も見られた。春場所に続き、納得のいく調整ができたようだ。
平成以降に横綱は9人誕生し、8人が2場所連続優勝での昇進を決めた。残る1人は鶴竜で、2014年初場所で14勝し、決定戦で敗れた。翌場所は14勝で初優勝し、綱とりを成就させた。こうした例から、稀勢の里に課せられる最低条件は夏場所制覇になるだろう。二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「横綱を倒し、14勝か全勝での優勝が必要」との見解だ。
「やれることをしっかりやるだけ」。1998年5月の若乃花以来となる日本出身横綱に自分がなろうと、稀勢の里は静かに燃える。序盤で取りこぼす悪癖が顔をのぞかせ、周囲の期待が早々としぼむ事態だけは避けたい。実力者の妙義龍と当たる初日、2日目の新関脇・琴勇輝戦をしのげれば、乗っていけるだろう。(巌本新太郎)