ターニケットを腕に巻く東京消防庁の職員。手前に見える棒を回転させて、きつく締め上げる=東京都千代田区
2020年東京五輪・パラリンピックのテロ対策として東京消防庁は今月、新たな救命止血帯「ターニケット」を全ての救急車に導入した。想定するのは手足切断のような大けが。大事故や災害での活用も考えており、担当者は「素早い止血でより多くの命を救えるようになる」と話す。
ターニケットは、環状になったバンドに腕や足を通して締め上げるだけで止血できる仕組みで、従来の包帯状のものに比べて時間を短縮できる。米軍も採用しているという。同庁の職員が試すと、従来の止血帯は巻くのに約60秒かかったのに対し、ターニケットは約25秒でできた。
救急医療に詳しい杏林大学の山口芳裕教授(救急医学)によると、13年4月の米ボストン・マラソンの爆破テロでは、救急隊員らに加え居合わせた市民も素早く止血の処置をとったため、犠牲者の数を抑えられたという。山口教授は「米国では12年に起きた小学校での銃乱射事件をきっかけに止血の重要性が浸透していたから対処できた。日本でも準備が必要だ」と話す。
東京消防庁は、先進国でテロが…