全国の雨量観測所の2012年以降の統計を気象庁が調べたところ、約3割の地点で、1時間当たりの降水量が観測史上最大を更新していたことが分かった。これまで比較的豪雨が少なかった北日本でも更新した地点が目立っている。
統計が10年以上ある1232地点について、12年以降に1時間当たりの最大降水量を更新しているか気象庁が調べた。その結果、山梨、佐賀両県を除く45都道府県の計351地点で更新していた。最も多かったのは北海道の83地点、次いで岩手県の22地点、秋田、鹿児島両県の14地点だった。
12年以降、今年7月末までの間、全国で最大降水量を記録したのは熊本県甲佐町の150・0ミリ(16年6月)。41人が死亡・行方不明となった九州北部豪雨(今年7月)では福岡県朝倉市で129・5ミリを観測した。
1時間当たりの雨量は50ミリ以上が「滝のように降る」、80ミリ以上になると「恐怖を感じる」とされている。こうした豪雨が起きると、中小河川が急激に増水したり、全国に約3500カ所あるとされるアンダーパス(地下をくぐる道路)が冠水したりする。急に大雨になることもあり、避難が遅れがちになるという特徴もある。
地球温暖化による気温の上昇は大気中の水蒸気量を増やすため、大雨は増加するとされる。名古屋大の坪木和久教授(気象学)は今回の統計について、「これまであまり降らなかった北日本でも豪雨が増えている。想定を超える雨がどの地域で降ってもおかしくないということを表している」と分析。その上で「過去の経験に基づく対策だけでは不十分。気候変動の最新の研究結果など新たな知見を採り入れ、対策を取る必要がある」と指摘している。(岡戸佑樹)