オランダから帰国し、スーツ姿で取材に応じる桃田賢斗
違法賭博問題による出場停止処分から復活をかけるバドミントン男子の桃田賢斗(NTT東日本)が、勝負勘を取り戻しつつある。国際大会で4連続優勝となったオランダ・オープンを終えて17日に成田空港に帰国し、「自信になったし、この結果に満足しないで上を目指したい」と語った。
言葉を慎重に選ぶ姿勢は、今年5月の復帰から変わらない。だが、視線がさまよい、おどおどしていた姿はなかった。「復帰してからは弱気になって、引いてしまうところがあったが、自分から積極的なプレーができた。スタミナ、成長を実感できた」
2016年4月、違法カジノ店での賭博が明らかになり、無期限の出場停止処分に。メダルが期待されたリオデジャネイロ五輪に出られず、テレビでも五輪はあまり見なかったという。
競技ができるありがたさ、1球の重みを感じながら再出発し、復帰直後はすべての球に全力で対応していたという。だが、国際大会をこなすにつれ、余裕も出てきた。「省エネで無駄なく戦えている。良い意味で、休むところで休めて戦い方がうまくなったかな」。出場停止処分のブランクはもう、感じないそうだ。
かつて2位まで上り詰めた世界ランキングも、今年7月に国際大会に復帰した直後は282位に落ちていた。今月12日現在で110位につけ、今回の優勝でさらに上がる見込みだ。
次は11月にある国内戦に出る。「会社の人たちに恩返しする意味で、精いっぱい頑張りたい。感謝の気持ちというのは、プレーで表すのは難しいが、その気持ちを忘れずにプレーしたい」。おかした罪への思いは、鍛え上げられた胸から消えていない。(笠井正基)