女性が飼育し山に放したとされる子どものアライグマ4匹(警視庁提供)
国内への持ち込みや飼育が原則禁じられている特定外来生物のアライグマを自宅で飼い、その後に放したとして、警視庁は大阪府富田林市の女性(43)を特定外来生物法違反(飼養、放出)の疑いで書類送検し、31日発表した。外来生物を放した行為を摘発するのは全国初という。
外来種アライグマ、今では全国に 人になじまず野生化も
生活環境課によると、女性は3月下旬からアライグマ4匹を自宅などで飼育し、9月14日ごろ、同府太子町の山中に放した疑いが持たれている。4匹は3月に女性が勤務する堺市の工場倉庫にあった段ボール箱の中で生まれて間もない状態で見つかり、女性が自宅に持ち帰ったという。女性が勤務する梱包(こんぽう)工場ではアライグマに商品などがかじられる被害があり、駆除用のわなをしかけていたという。
同法は、専門機関での研究目的などを除き、アライグマを飼ったり移動させたりすることを禁じている。本来は大阪府の防除計画に基づいて市に殺処分してもらうべきだったが、女性は「殺されるのはかわいそうだと思った」などと話しているという。
女性は子犬用のミルクやドッグフードを4匹に与え、リードをつけて散歩するなどしていた。8月に外来生物に関する捜査に詳しい同課に情報提供があった。捜査員が9月14日に女性宅を訪ねた際、女性は任意の立ち入りを拒否し、その後の家宅捜索の時に4匹はいなくなっていたという。女性は9月14日夜に放したと説明し、「このままだと警察に捕まると思った」と話しているという。(荒ちひろ)