伊勢ケ浜部屋に戻った日馬富士=14日午後4時10分、福岡県太宰府市、日吉健吾撮影
角界でまた暴力が明らかになった。横綱日馬富士の暴行問題。九州場所が開かれている福岡市博多区の福岡国際センターでは14日、ファンから失望や憤りの声があがった。
日馬富士、酒に酔って貴ノ岩に暴行 「迷惑かけた」謝罪
貴ノ岩側、暴行の被害届 師匠「取り下げるつもりない」
日本相撲協会の関係者によると、日馬富士がビール瓶で貴ノ岩を殴ったという証言もあるという。
長崎県佐世保市の会社員、川端美紀さん(44)は「日馬富士は土俵入りがすごくきれい。手を上げるような人には思えなかった」。この日初めて観戦に訪れたが、「不祥事の後、せっかく大相撲がまた盛り上がってきたのに残念」。
毎年、九州場所に足を運ぶという広島県東広島市の会社員広田正成さん(57)は「大相撲人気に水を差した。横綱が暴力なんて(他の力士に)示しがつかない」。暴行が明るみに出た14日からの休場について「本当に反省しているのか」と語った。
角界は暴力事件など不祥事からの再起を図る途上にある。2007年には時津風部屋で、序ノ口力士が親方や兄弟子らに暴行されて死亡。10年には横綱朝青龍が知人への暴行疑惑で引退した。10~11年には野球賭博や八百長問題も発覚した。
高知県大月町の自営業、中山進さん(69)は豊ノ島(時津風部屋)のファン。不祥事後も大相撲を応援してきた。「真面目に頑張っている若手力士はたくさんいる。暴力は絶対にあってはいけない。横綱は正々堂々としてほしい」と注文を付けた。福岡県みやま市の野口哲志さん(68)は「一連の不祥事での相撲協会の隠蔽(いんぺい)体質が相撲離れを進めた。ファンは対応を見ている。うやむやにしてはいけない。また相撲離れが起きたら取り返しがつきません」と話した。(柏樹利弘、伊藤繭莉)