バンコクの中央駅でチェンマイ行きの列車を待つ乗客たち。タイの鉄道のほとんどが単線で、電化もされていない=8月20日、バンコク・フアランポーン駅、吉岡桂子撮影
タイで運輸行政に携わる官僚ら約20人が10月、日本を訪ね、鉄道の安全確保に向けた視察や研修を受けた。日本側の狙いは明快で、安全面の長所を力強くタイ側にPRし、鉄道事業の入札で中国に競り勝つことだ。ただ、高速鉄道の建設でタイは、最大の投資受け入れ先・日本と、最大の貿易相手・中国とでバランスに配慮しながら、両国との協力関係を築いていた。
タイで運輸行政に携わる官僚や国鉄の幹部ら鉄道関係者約20人が10月初め、日本を1週間ほど訪れた。北陸新幹線に乗り、建設現場を視察したり、安全管理の研修を受けたりした。鉄道の安全確保に向けた取り組みを理解してもらおうと、国際協力機構(JICA)が企画。「安全には、お金も時間もかかることはよくわかった」。タイ政府の高官は、そう評価した。
バンコクでは、都市鉄道の建設現場で作業員の死亡事故が相次ぎ、当局は批判を浴びている。今回の研修は、信号や踏切の装置から工事の足場の組み方まで、海外経験を持つベテランの講師が説明にあたった。
日本側の狙いは明快だ。日本の…