俵万智さん(右)と谷川俊太郎さん=12日午後、東京都中央区築地、関田航撮影
「日本語のオノマトペ(擬音語・擬態語)は豊かだ」「詩も短歌も音楽みたいなもの」――。詩人の谷川俊太郎さんと歌人の俵万智さんが12日、絵本の刊行を記念して、東京・築地の朝日新聞東京本社の読者ホールで、言葉や音楽をめぐって対談した。
谷川さんはフランス生まれのイラストレーター、エルヴェ・テュレ氏の絵本『おとえほん』(ポプラ社、1404円)を翻訳した。
タッチパネルを指で触ったときに変化する画像を絵にしたような同書は、遊び心がいっぱいの絵本。紙の中から飛び出すような音の魅力を谷川さんは巧みに日本語に移した。「日本語はオノマトペが豊かなので、『ぽん』といったら、それだけで伝わっちゃう」と谷川さんが語ると、俵さんも「(オノマトペは)無数にありますね」と応じ、詩や短歌が持つ音楽性にも言及した。
俵さんは、イギリスで話題の新人作家デイビッド・リッチフィールド氏の絵本『クマと森のピアノ』(ポプラ社、1512円)を翻訳。クマがたまたま弾いたピアノを通じて新しい世界を体験する物語だ。
俵さんは「絵本はぜいたくなもの」と語り、息子との絵本の読み聞かせを通じて過ごした豊かな時間を振り返った。子どもとの交流の話を聞いた谷川さんは、俵さんに「絵本を書いたらどうか」と創作絵本も手がけるよう誘った。谷川さんは『もこもこもこ』などの創作絵本も手がけてきたことで知られる。
2人はそれぞれ刊行した絵本を朗読。ピアニストの村山祐季子さんが生演奏した。約180人が来場し、音楽と言葉の共演に耳をすませていた。(赤田康和)