ニュース雑誌「タイム」などを手がける米出版大手タイムは２６日、米メディア大手のメレディスに約２８億ドル（約３１００億円）で身売りすると発表した。政治や経済、文化にわたる質の高いジャーナリズムを売りにしてきたが、読者がデジタル媒体に移るにつれて業績が悪化していた。

買収額は負債の引き受けを含めた総額で、買収報道が出る直前のタイムの株価に４６％上乗せした水準。来年３月までに手続きを終える。両社の２０１６年の売上高は合計４８億ドル（約５３００億円）になる。

タイムは「フォーチュン」や「ピープル」などの著名雑誌も発行し、世界で約６０ブランドを展開する米出版界の老舗。１４年にタイム・ワーナーから分離独立した。最近はデジタル化も進めていたが、新興ネットメディアの攻勢に押され、減収基調だった。

一方、メレディスは、ライフスタイル誌や地方テレビを手がける。スティーブン・レイシー最高経営責任者（ＣＥＯ）は「デジタルやテレビ、紙、携帯を横断し、米国で２億人近い閲覧者を持つ先進メディア企業になる」とコメントした。

メレディスは以前もタイムの買収を試みたが資金が足りずに失敗。今回は米政財界に大きな影響力を持つ大富豪、コーク兄弟傘下のファンドから資金の拠出を受けた。コーク兄弟は共和党などの保守派への支援で知られるが、メレディスは「（コーク兄弟側が）取締役を送ったり、経営・編集に介入したりすることはない」としている。（ニューヨーク＝江渕崇）