上海ではかつて、油や塩、醤油、酢、お米、お酒などたくさんの物を小買いすることができた。小買いなら、さまざまな商品を、1個でも1本でも、最も小さい単位で必要な分だけ買うことができる。
現在、小買いが人々の生活に中で「復活」している。ホワイトカラーはマイボトルを手にコーヒーを買いに行き、高齢の男女は瓶を手にピーナッツペーストを買いに行く。そんな小買いライフが若者の間で人気になり、ほしいものを適量だけ買うというライフファッションがトレンドとなっている。
ばら売りピーナッツペーストの年間販売量は缶入りにして重ねるとテレビ塔3つ分の高さに
上海の繁華街・淮海路にある全国特産物商店の漬物・タレ売り場は毎日大盛況となっており、長蛇の列ができている。タレ売り場の前で、女性の周さんは、慣れた手つきでガラス瓶2つを取り出して、店員に渡していた。「ここ十数年、ここに来て、小買いしている。自分の家の瓶なら衛生的だし、必要な分だけ買えるし」と周さん。
売り場の店員によると、「瓶を持って小買いしに来る客は少なくない。ピーナッツペーストやゴマペーストなど、人気のタレだけでも、毎日100‐150キロ売れ、1日の売上高は3‐4万元(1元は約15.45円)。タレ売り場の3%の面積で売上高の20%に寄与している。ピーナッツペーストの販売量だけを見ても、年間で、35センチの高さの缶を積み上げると、テレビ塔・東方明珠電視塔(高さ467.9メートル)3つ分の高さになる」という。
上海の人々が小買いを好むのはそのコストパフォーマンスの高さからだ。
インク、香水、マスキングテープなどもばら売り
現在、「小買い」が上海で少しずつトレンドになっている。90後(1990年代生まれ)や00後(2000年以降生まれ)にお馴染みの「ばら売り」が、「小買い」のことだ。
オンラインショップ・淘宝網で、90後の汪剛さんは、モンブランの万年筆のインクをばら売りしており、販売開始後すぐに「どれだけ買うと送料無料になるのか?」という問い合わせが入ったという。「ばら売り5ミリリットルで約10元」だ。汪さんは万年筆のカラーインクが大好きで、カラーインクをばら売りするショップを経営している。日本のセーラー、ドイツのヌードラーズ、モンブランなどは、人気のカラーインクブランドだ。ただ、外国のカラーインクは一瓶300‐400元と高価で、一瓶買っても普通の人だとなかなか全部使い切ることはできない。そのため、ばら買いがコストパフォーマンスの高いチョイスとなる。