32キロ付近、優勝したモーエン(右から2人目)らを追い掛ける大迫傑(同3人目)=池田良撮影
(3日、福岡国際マラソン)
大迫が3位、五輪選考会の出場権獲得 福岡国際マラソン
大迫「下を向いていこう」 福岡国際マラソンへ調整
しなやかな大迫の走りは最後まで乱れなかった。トラックの残り1周で時計に目を落とした。ただ、大迫が戦っていたのはタイムや他の選手ではなく、自分自身。自己記録を3分以上縮めてフィニッシュし、「100%自分の力を出せた。次のレースにつながるいい経験になった」。笑顔がはじけるわけでもなく、あくまでクールにそう語った。
30キロまでは5キロ15分を刻むペースメーカーに身を任せる。14度を超えるこの時期としてはやや暑い条件の中、慎重に給水した。「次の5キロ、次の5キロと給水で気持ちを切り替えて走った」。ペースメーカーが抜けてからカロキとモーエンとの差がつき始める。
ただ、この時の対応が大迫の真骨頂。「ここでガツンと行くと後半やばいかなと思って自重した」。42・195キロを走り切るための力の配分が瞬時にできる。本人が言う「メーターを振り切らずに」走る力だ。
「マラソンって本当に個人競技だと思う。対人じゃなくて対自分」。より正確な「メーター」をつくり出すために、普段の練習も一人で取り組むことが多い。
MGCへの出場が決まり、いやが上にも2020年東京五輪での期待が高まる。ただ、ここでも冷静に「3年後を意識しても先はまだまだ長い」。レース後、囲まれたファンに長い時間、サインペンを走らせた。そんな華やかな光景とは裏腹に「今後も地味な練習を繰り返していきます」と、「地味」と「地道」を何度か口にした。(堀川貴弘)