ノーベル委員会から届いた授賞式への招待状を示す日本被団協の田中熙巳代表委員(中央)と藤森俊希事務局次長(左)=4日午後1時ごろ、東京都港区、宮崎園子撮影
ノルウェー・オスロで10日にある国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN〈アイキャン〉)へのノーベル平和賞授賞式と晩餐(ばんさん)会に招待された、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員(85)と藤森俊希(としき)事務局次長(73)が4日、渡欧を前に都内で会見した。2人は核廃絶の機運の高まりへの期待を話した。
ノーベル平和賞授賞式、核保有国の米英仏大使は欠席
特集:核といのちを考える
ICANは7月の国連での核兵器禁止条約採択に貢献したことが評価された。条約の前文には「ヒバクシャ」の文言が盛り込まれている。長崎で被爆した田中さんは「日本被団協は核廃絶を60年言い続け、いま条約として実を結び始めている。(50カ国の批准で)確実に発効させ、核保有国も加盟せざるを得ないような国際世論をつくりたい」と今後の抱負を述べた。
広島で被爆した藤森さんは「条約に対して核兵器保有国がそっぽを向いている中でICANを選んだノーベル委員会の決意は相当なもの」と評価。ただ、保有国の米英仏の駐ノルウェー大使が授賞式に欠席の意向であることについて、「大人げない。出席してICANをたたえ、ともに核兵器のない世界をつくろうと言えばいいのに」と訴えた。
授賞式では、広島で被爆し、現在はカナダに住むサーロー節子さん(85)がスピーチをする予定。このほか、広島や長崎、熊本、神奈川などに住む被爆者23人も現地を訪れる。(宮崎園子)