辺野古移設をめぐる翁長知事の対応と発言
沖縄県名護市の辺野古沖で、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設工事が着々と進められている。翁長雄志(おながたけし)知事(67)は3年半前の初当選時から「移設阻止」を掲げているが、有効な手を打てていない。支持団体からの脱会も相次ぎ、自身の健康問題も浮上。秋の知事選が迫る中、足元が揺らいでいる。
辺野古、7月にも土砂投入 翁長知事の承認「撤回」焦点
「辺野古ノーの旗は降ろさない。ピエロになってもいい」。翁長氏は県幹部らを集めた場で、口癖のように繰り返している。
翁長氏は2月の名護市長選で、辺野古への移設計画に反対する現職を全面支援したが、安倍政権が支えた新顔に敗北。大きな打撃を受けた。ただ、その後も「闘争宣言」は変えていない。周囲は「強大な政府の力を前に、自分が滑稽に見えてもいいという意味」と真意を推し量る。
翁長氏は県庁内で、前知事が出した「埋め立て承認」の「撤回」に向けた検討を加速させている。工事差し止め訴訟を起こしたが地裁で退けられ、撤回は工事を止める「最後の切り札」。踏み切るには、承認の後で事業者である国による重大な違反があったと示すことが必要とされる。
県庁内では、埋め立て海域のサンゴが十分に保護されていないとの主張を検討。同時に、埋め立て予定地の地盤が相当に軟弱である恐れがあることや、予定地に活断層があるとの専門家の指摘などから、「基地を造るには危険で不適当」と主張することも考えられている。
こうした「根拠」には、県庁内でも「弱い」との声がある。国が撤回への対抗手段をとることも確実だ。だが、翁長氏は周辺に「国はなりふり構わず工事を強行している。こちらもなりふり構っていられない」との決意を示す。
翁長氏は昨年3月、移設計画に反対する市民団体などが開いた集会で「あらゆる手法をもって、撤回を必ずやります」と宣言した。あとはいつ、撤回表明に踏み切るか――。工事の進み具合との兼ね合いも含め、この点に注目が集まる。
ところが翁長氏の支持団体「オール沖縄会議」に揺らぎが生じている。
オール沖縄会議は、辺野古への…