リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、受注調整があったとして独占禁止法違反で家宅捜索を受けた大手ゼネコン4社のうちの1社の元幹部が、リニア工事の受注を目指す複数の準大手ゼネコンに対し、撤退するよう働きかけていたことが、関係者への取材でわかった。
大手4社が談合で決めた受注工事を確保するため、他社を排除して公正な競争を妨げていたとみられ、独禁法違反(不当な取引制限)容疑を裏付ける悪質な行為の疑いがある。元幹部は談合で重要な役割を果たしていたとされ、東京地検特捜部が事情聴取している。
関係者によると、複数の準大手ゼネコン幹部らが2016年ごろ、品川駅建設工事などでJR東海に受注希望を伝える営業活動をした際、この動きを察知した大手ゼネコン元幹部が準大手ゼネコン幹部らと面会。受注調整で大手ゼネコン4社で配分が決まっているので受注希望を取り下げてほしいと働きかけたという。
JR東海の説明では、工事の受注を目指すゼネコンの提案を審査する際、各ゼネコン側には競合する他社を知らせていなかったという。特捜部は、この元幹部が準大手ゼネコンの動きを知った経緯についても調べるとみられる。
リニア工事ですでに発注された22件のうち、大林組、鹿島、大成建設、清水建設の大手4社が3~4件ずつ計15件を受注。残る約3割の7件を、準大手ゼネコンの共同企業体などが受注している。