かっこの中に助詞を入れる練習問題に取り組む。かなり正解できるようになってきた
その、聴者である母親は焦っていた。
ろう者である娘は10代。明るい子に育った。ちょこっと反抗期だけれど、それは成長の証しだ。
ろう者に「僕は10、あなたは2だ」 理解ない職場で
「朝礼がつらい」涙を流すろう者 「孤独」知った職場は
心配なのは、娘が書く日本語の文章だ。「で、に、を、は」といった助詞の使い分けが、おかしい。自動詞や他動詞、尊敬語、謙譲語、そして丁寧語……。使い方を間違えている。
ろう者にとっての母語は手話であり、日本語は、あくまでも第二言語だ。娘を託した学校は、「日本語もお任せ下さい」と言っていた。なのに、日本語が正しく身についていない。
娘が数学の文章題を、辞書を引き引き解いている。これでは、数学と日本語のどっちを勉強しているのか分からない。逆に言えば、日本語ができたら数学や他の教科の成績もあがるということだ。
その母親は、知人たちに相談した。「手話通訳者がいるから大丈夫だよ」という人がいた。でも、手話通訳を手配してくれる企業は少ない。就職したら、メールなどで聴者たちとやりとりすることになる。でも、娘の日本語がおかしかったら、同僚たちは娘をさげすむかもしれない。
何とかしなくっちゃ。どうしたらいいの?
この春、その母親は、鈴木隆子…