フレンチブルドッグ=大阪市都島区、滝沢美穂子撮影
ペットフードメーカーの業界団体「一般社団法人ペットフード協会」(東京都)は22日、全国の犬と猫の推計飼育数を発表した。猫が953万匹(前年比2・3%増)に対し、犬は892万匹(同4・7%減)。1994年の調査開始以来、初めて猫が犬を上回った。
「全国犬猫飼育実態調査」の結果。20~79歳の5万人にネット上でアンケートを取り、統計化して推計値を出した。
犬の飼育数は調査開始時から一貫して猫を上回ってきたが、両者の差は年々縮まっていた。犬は3年連続で減少し、猫は2年連続で増加している。
90年代後半以降の小型犬ブーム時に誕生した犬が寿命を迎える中で、飼い主も高齢化し、新たな犬の「飼い控え」傾向が生じている。同協会は「犬はしつけや散歩が必要なため、猫に比べて負担感が大きく、敬遠につながっているのではないか」とみている。
一方、飼育世帯数の推計値は猫が546万世帯、犬は722万世帯。飼い主の数で見れば、猫より犬の方が多い。犬は1匹のみ、猫は複数匹を飼うケースが多いためだ。(机美鈴)
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〈世界各地の猫を撮影している動物写真家の岩合光昭さん(67)のコメント〉 昨年あたりから「犬好きだったのに猫も好きになりました」と写真展で言われることが急激に増えました。うれしいですね。猫の動きは見ていて飽きません。便利な生活の中で私たち現代人が眠らせてしまった野生を揺り起こしてくれます。風の匂いで雨を知ったり、花の香りで四季を感じたり。ネコの自由さに触れる度、原点に立ち返る大切さを思い出します。「猫かわいがり」という言葉がありますが、外国と比べ、日本では無心にネコを可愛がる光景とよく出会います。思い通りにはならない猫に寄せる無償の愛は、日本人の心意気に通じるのかもしれません。
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〈作家の畑正憲さん(82)のコメント〉 今年の調査結果がどうなるか、関心を持っていました。猫が犬を逆転すると、思っていましたよ。住環境が大きく変わり、犬を飼うより猫の方が楽になった。それに尽きますね。猫ブームが来るだろうということは50年前に予想していました。猫は非常に気持ちがわかりやすいんですね。面白いですよ。1960年代に初めて飼った猫・ペコは忘れられないですね。保護施設でぐったりしているのを引き取ってきたんですよ。15年ぐらい生きたかな。散歩をすると肩に乗ってきてね。今もね、数匹飼っていますよ。人間は、人間だけじゃ暮らせない。人間はペットと離れられないんです。