豪シドニーのタロンガ動物園で、飼育係が抱くワラビーののど元を撫でる雅子さまと、ほほ笑む皇太子さま=2002年12月
「楽しく生活されていますか」「アイメイト(盲導犬)と歩いてどんなことを感じますか」。視覚に障害があり、盲導犬と共に暮らしている人らを前に、雅子さまは熱心に質問を続けました。今年4月、東京・目白の学習院構内で開かれた恒例イベントでの出来事です。
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学習院卒業生らが集うお祭りで、構内にはさまざまな出店やブースが並びます。私的な外出なのであまり知られていませんが、雅子さまはほぼ毎年、盲導犬事業の啓発に取り組む「アイメイト協会」のブースに立ち寄っています。今年4月にはお一人で訪れ、盲導犬を連れた視覚障害者数人と懇談。さらに、訓練中のラブラドルレトリバーを連れた協会スタッフの前でも足を止め、「かわいいですね」「どのくらい訓練されるんですか」などと尋ねたそうです。
福島県いわき市から参加した坂本光男さん(71)は雅子さまに、盲導犬と暮らすようになり「1人で出歩けるようになってよかった」と伝えました。盲導犬と暮らすまでは、白杖(はくじょう)を頼りに暮らす毎日で、道路脇の側溝に落ちてしまうなど外出のたびに怖い思いをしてきました。雅子さまは、そんな坂本さんの体験にじっと耳を傾け、最後には「頑張ってくださいね」と話したそうです。
坂本さんは「見えなくても、声が聞こえる高さから、雅子さまが目線を同じ高さに合わせてくれているのがわかった。自分たちのことをよく知っており、話しやすかった」と教えてくれました。
アイメイト協会によると、雅子さまが初めてブースを訪れたのは2013年のこと。皇太子さま、愛子さまも一緒で、愛子さまは犬と一緒に体験歩行をしたそうです。それ以降、14、15年も訪れており、14年には愛子さまが、事業を支援するための協会のグッズを購入しました。ラブラドルのシルエットが描かれた小さなトートバッグを選びました。
協会代表理事の塩屋隆男さんは「犬にふれ合いたくて立ち寄る人もいるが、雅子さまは必ずまっすぐ、犬の使用者である視覚障害者の元へ来てくださる」と言います。また、雅子さまは声をかける際には、必ず最初に握手をすると言い、「相手の姿を見ることができない使用者は、握手をしてくれることで安心してお話しできる。継続して関心を持ってもらえていることも大きな励みになります」と話してくれました。
塩屋さんと父の賢一さん(故人…
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